先日読んだ本がえらく面白かったので、ちょっとご紹介。
『アイデアの直前 –タグボート岡康道の昨日・今日・明日』
この業界の人ならほとんど知っているであろう
言わずと知れたタグボートの代表であり、
数々のCMを世に送り出して来た
CMディレクター&プランナー岡康道さんのエッセイ集。
こういう本っていうと、
とかくトップクリエーターの指南本と思われがちですが、
この本に関して言えば、全く違います!(と私は思う…)
随分昔、まだ岡さんが電通の時代に出版された
「岡康道の仕事と周辺」も面白かったのですが、
今回の本もいい感じに悪ふざけが混ざっている感じが好き。
一つひとつの話に、ちゃんとオチもついていて、
話のリズムも巧みです。
もちろん電通を飛び出し独立するまでの経緯とか、
タグボートの4人がどう仕事に取り組んでいるかとか、
理不尽とも言えるスポンサーの希望に振り回されたりとか、
感心させられたり、ためになる話も随所に見られます。
でも、それよりも面白かったのは、
50代を迎えた一人の仕事人としての日常が、
何とも愛おしい…。
大学時代、アメフト部だった岡さんは、
友人に誘われてシニアアメフトボールチームを立ち上げたものの、
気持ちはあっても身体がついていかないおじさんチーム。
練習するたびに怪我人が増えていったり、
プレゼン前には眠れても
初試合を前に眠れない夜を過ごしたりと、
おじさんの悲哀たっぷりに語られるエピソードが盛りだくさん。
そんな風に、私からみたら
余裕で人生のセンターを走っているように思える先輩が、
迷いながら、抗いながら、時々はしゃいでいる姿はなんとも微笑ましく、
まだまだ人生たいへんだけど面白そうだなって期待を抱かせてくれる、
そんな1冊かなと思います。
オッさん、万歳!