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食の欲

私は食いしん坊だ。そんじょそこらの食いしん坊だ。「食べること」が好きな人は多い。人間の三大欲求の一つだからな。私が専門学生だった頃、お昼ご飯を食べていたら友人が「あぁ、もう食べるのめんどくさい」と言って、弁当を傍らに置いてパソコンで作業を始めたときには心底驚いた。食事を止める理由が「お腹いっぱい」ではなくて、「めんどくさい」なんてことがあってたまるものか。もう1人の友人は、一人暮らしを始めて「ご飯を作ったり、買いに行ったり、食べてる時間より、ゲームしていたい」という訳のわからん理由でどんどん痩せていった。今までそんなヒトに会ったことがなかったもので、私の脳内の世界はちょっとパンチをくらったみたいにグラグラ揺れた。その時は「食欲を忘れて熱中できることがあってかっこいい!」なんて思ったけれど、私はモグモグ食べ続けたし、おかげさまでずっと健康体である。そういえば、その時の私は今より5~6kgくらい体重があって、ちょっぴりプクプクしていたのだが、1人の痩せた女がことあるごとに「健康的だね」と言ってきて腹が立った。「健康的だね」とは時に、悪口になるのである。覚えておいてほしい。少なからず、その女には悪意があった。私にはわかる。年頃の女の子の容姿をとやかく言う奴に、ろくな奴はいない。これ絶対。とにかく、今も昔も食べることが大好きな私だが、今も昔もナイスバディへの憧れは強い。過去に一度「脂肪燃焼スープダイエット」なるものに挑戦したことがある。それはたくさんの野菜をグツグツ煮込んだスープ以外、食べてはいけないというルールのものだ。逆にスープはいくらでも飲んでいいのだ。なら簡単ではないか、と思い、まるで魔女のごとく大きな鍋で野菜スープを作った。1日目は余裕。ただ、レシピどおりに作ったので苦手なセロリもちゃんと入れてしまい、セロリの匂いが気になる。2日目にして、飽き始める。「今日のお昼は何食べよう」「今日の夜ごはんは何かな」と考える必要がない。これは脳の容量の有効活用にはなるのかもしれないが、楽しみがまるで見出せない。3日目の昼まで頑張ったが、夜には我慢できず、母が用意してくれた白米とトンテキを食べた。そのトンテキのうまさたるや。母と姉はトンテキのうまさに感動して泣きながら頬張る私を爆笑しながら見ていた。そんな苦い経験で、私の人生における食事のウエイトの大きさに気づくとともに、セロリへの苦手意識が倍増した。最近、ようやく「満腹=幸せ」ではないと理解しはじめた。(お腹いっぱい食べられる国に住んでいることは大いに幸せなことだが。)お腹がいっぱいになると苦しいし、いろいろな行動に支障をきたす。確かにたくさん食べた“満足感”は味わえるが、少しの“罪悪感”もそこにはある。ビュッフェ形式の食事で、一度ぐるっとラインナップを確認し、たくさんの種類を少量ずつ皿に盛り付けられるようになるまで、25年かかった。フライドポテトをたくさん持ってこないようになるまで、25年かかったのだ。この食べ方ができる人こそ、真の大人だと思う。

もしも、近い未来に「食事をしなくても、このサプリメントさえ飲んでいれば大丈夫!」と謳う商品が誕生して、新たな食事のスタイルが確立されていったとしても、私は食卓で食べる食事を捨てないと思う。最近は料理をする機会が増え、時には「めんどくさいな」と思うこともあるが、生きることは総じてめんどうだ。サプリメントを活用して1分で栄養補給を終える人もいれば、前日からコトコト煮込んだビーフシチューをゆっくり味わう人間もいるのが、この世界なんだ。私は先ほどから、何を言っているのだろうか。きっとお腹がすいているんだ。

2 thoughts on “食の欲” への1件のコメント

  1. nagisa より:

    私がtanamichiを好きだからか、スラスラ読めてしまいました。

  2. ちかこ より:

    さすがコピーライターさんだなぁと思いながら、スラスラ読めてしまいました。

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