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あらがう2

今回は、お恥ずかしながら前回の続きになります。

入院1日目。明日の10時には手術を迎える。
それまでに、この指輪を外さなければいけないという
過酷なミッションを突きつけられた。

そして、さっそく一人目の猛者が現れる。

「すいませんね〜。ちょっとひっぱりますね〜」

天使の笑顔を振りまきながら、
母の左手の薬指に食い込んだ指輪を、おそるおそる引っ張る。
どう見ても、指の肉が関節に詰まって、
抜ける気配はない。

「昔は細かったんですけどね〜。
 もう何十年も外してなくて、
 すっかり外れなくなっちゃったんですよ〜」

  

その状況を見て、母はいい訳がましく口にする。
看護士さんはあくまでも穏やかに、やさしく、
でも厳しい現実を突きつける。

「そうですよね〜、でも外せないと
 指輪を切らなきゃいけなくなっちゃうんですよ」

ま、まじか。
「切る」という最後の手段を持ち出され、娘はたじろぐ。
しかし、母は何ともないように答えたのだ。

「あ、切ってもらっていいですよ。切ってください」

!!!
この貫禄、この余裕。これが年の功なのか!!

ケロッと言い放った母に対して、
やはり指輪を切るという行為に
戸惑いを覚えるうら若い看護士さんは、
「ちょっと聞いてきますね〜」といって
その場を去って行った。

3年前に亡くなったとはいえ、指輪は父との大切な絆。
そんな、わずかなセンチメンタルを胸に残した娘は、
おそるおそる母に語りかける。

「え〜、でも切ったらお父さんに悪いじゃん…」

すると母は、さらっと真実を口にした。

「実はね、結婚してしばらく経った頃に
洗い物してたら指輪を流しちゃって、
 これはその時買い換えた安物なの〜」

!!!

「そ、それってお父さん知ってるの?」

「ううん、知らない。自分で似たものを探して買ってきたから」

なんという真実!
っていうか、夫婦って、こわっ!

そうか、そうなのね。そんな真実があったのね。
とりあえず娘は、たたきつけられた現実に大爆笑!

こうなったら遠慮はいらない。

そこから母と娘は、一丸となって
「指輪は切ってもらってかまわない、ノープロブレム!」
という考えに方向転換。

しかし、ここからが本当の闘いだった。

やっぱり長くなるので、次回に続きます。
すいません。

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