お兄さん、現る。
私は姉大好き芸人である。
幼稚園の頃は2つ上の姉から片時も離れず、
学年別で並ばなきゃいけないのに「いやだ」と駄々をこね、
優しい先生をガチギレさせてギャン泣きしたのが良い思い出だ。
「大好きだから何でもまねっこ!」とはいかず、
あまのじゃくな私は姉が「ピンクのスカートが好き!」と言えば「青いズボンが好き!」と答え
姉が「お肉が好き!」と言えば「にんじんが好き!」と訳分からんことを申していた。
姉は少しおませさんで、小学生の頃からお化粧に興味を持ち、
サンタクロースには「アユと同じ髪型になれるウィッグ」をお願いしていた。
(一方の私は「くねくねむしむし」というおもちゃである。)
あまのじゃく精神が爆発したのか、“THE 女の子”を突っ走る姉とは対照的に小学生の頃の私は男の子の洋服を好んで着ていた。
大体、迷彩や十字架、炎が描かれたやつ。「BAD BOYかっけぇ!」って感じである。
(当時は、めちゃ×2イケてるッ!と思っていた。)
高校は「姉を知らない人がいる世界」を作ろうと思い、
姉が家から一番近い高校に行ったので、
私は家から二番目に近い高校に行った。
姉に恋人ができると、とりあえず威嚇した。
全然私と遊んでくれなくなるからである。
だから常に「姉の恋人=私の敵」だった。
3年ほど前だっただろうか。
姉が恋人と同棲すると言って、家を出た。
生まれてからずっと、一緒に暮らしていた人が家からいなくなる喪失感たるや。
その時の私は心がズドンと重くなり、帰りの地下鉄に揺られながら(帰ってもいないのか…)と思って涙を流したり、ミスドで横に座った見ず知らずのおばあさんに相談しようかと本気で考えたレベルで落ち込んだ。
時間の力も借りつつ、今では違う場所で暮らす生活に慣れた。
一緒に過ごす時間は少なくなったが、今の方が仲良くなれた気もしている。
なぜ、唐突に姉の話をしだしたかというと、
もうすぐ、姉が結婚するからだ。
先日、向こうのご家族と顔合わせを行った。
私は同い年の男をこれから「お兄さん」と呼ばねばならない。
(いや、おそらく呼ばない)
未来のお兄さんは、涼しい店内で、すごく汗をかいていて「絶賛緊張してます感」が分かりやすく出ていた。
気が弱そうではあるが、良い奴っぽい。(謎の上から目線)
うちの姉が選んだ人なのだから、まぁいい人なのだろう。(そう信じたい)
「姉を悲しませたら許さんぞ!」と直接は言っていないが、圧は伝わっているはずだ。
今後何があってもいいように、筋トレに励もうと思う。(暴力はよくない)
姉の結婚式までに、ウォータープルーフのマスカラとアイラインを手に入れておかないと、大変なことになりそうだ。
涙もろいのでちょっとうるっと来ました。おめでとうございます!!!!!
ありがとうちかこちゃん……!姉も喜びます!