ピーチティー事件
事件つながりで、私の身に起きた「ピーチティー事件」についても、語らせていただこうと思う。
私が高校生だった頃のことだ。
高校には紙パック飲料の自販機があって、そこでリプトンを買って、ちゅーちゅーするのが嗜みだった。
中でも好きだったのが、ピーチティー。
家でジュースを飲む習慣が無かったことと、
中学から高校にあがって「学校でジュース飲んでもいいんだ!」のワクワク感とが相まって
500㎖の紙パックリプトン=青春の味 の等式が私の中で確立されたのであった。
ある日、大好きなピーチティーを飲みながら友達とおしゃべりしていた昼休み。
同じクラスのYちゃんが「喉かわいた〜」と近寄って来た。
ちなみに補足しておくと、私とYちゃんの関係は「ただのクラスメイト」。出席番号が近くて少し話したりはするけれど、用事がなければ関わりはない、って感じのもの。
すると、「いいもの飲んでんじゃん!ちょーだい!」と言って、私のピーチティーを奪い、そして飲み始めたのだ。
私は、頭の中に「?」を浮かべて一時停止。
(え、すごい距離詰めてくる……。)と冷静に判断したところで時すでに遅し。
「ありがと〜」と去っていくYちゃん。
そして私は驚愕する。
「めっちゃ飲んでるやないかいっ!」
極端に軽くなった紙パックを持って、私はとてつもない喪失感に襲われた。
(実際に、ピーチティー喪失してますからね!)
「え、信じられない……」と嘆く私。
友達になぐさめてもらっているうちに、悲しみが怒りへと変化し、この人間不信になりそうな出来事に「ピーチティー事件」と名付けたのだった。
そして、今も高校の友達と会うと「ピーチティー事件あったね〜!」なんて話題の一つにあがったりするのだが、私はある大きなミスをおかした。
それは、Yちゃんのことも「ピーチティー女」と名付けてしまったことだ。
Yちゃんという人物に、私の大好きな「ピーチティー」の称号を与えてしまった。
しかも、自らの手で。なんと皮肉なことだろうか。
これが、「ピーチティー事件」の真相である。
今日、久しぶりにコンビニでリプトンのピーチティーを買ってみた。
甘くておいしい。青春の味がした。
私はピーチティーを飲むたびにYちゃんのことを思い出してしまうし、
何度だって青春時代を思い返すことができる。
青春って、甘酸っぱいね。