言葉の、跳躍力。
そう、記憶によれば、元号が平成になった頃。
どうしても、この単語を正しく、コピー本文で使ってみようと、
気が立っていた頃の、お話である。
「結局、いろんな意見で掻き回されていくから、
済し崩しになっていくんだよね」(以下、文例と表記)
おいおい、「済し崩し」の意味、わかってんのかよ。
“お父ちゃん!パチンコやギャンブルでお金使い切っちゃうから、
借金、膨れ上がったじゃないの!
結婚する前は、ギャンブルに興味なんかないって、言ってたのに!”
(よく、ある話である)
つまり〜♡、済し崩しとは、借金を少しずつ返済して、
負担や負荷を減らしていくという、良い意味に使われる言葉なのだ。
でも、平成になった頃から、(以下、文例)のような
使われ方が徐々に、感染…… (あ、間違えた!)
繁殖していくのであった。
いい方面の言葉なのに、わるい方面の言葉になっている。
そんな当時を思い出させたきっかけ、
それは、某クルマメーカーの CMであった。
男友達:クルマなんて、どれでも同じじゃん
女の子:なぁーんて言うのよ、パパ
女の子とパパ:嘆かわしい〜〜〜(明るく笑)
おおおx^^^〜〜、 わしにとっては感動ものの CMである!
「嘆かわしい」というネガティブな言葉を、
これほどに、嫌みもなく、爽やかに
陽のあたる坂道に導き出すとは。
映像があって、音声があって、
なにより、山田杏奈ちゃんの、表現力の成せるワザである。
(浜辺 美波 キミスイ以来の衝撃である(わし調べ)
あ、本題にまるっきり関係ないが……)
そうなのだ。使われる言葉は、
時代や社会の追い風とか、人波に揉まれながら、
ときには向かい風に作用されて、
意味もニュアンスも変化していく。
昨日の善人、今日の悪役に、転化する、
そう、言葉は生きものとさえも言える。
今となって、「済し崩し」は、本来の意味に加えて、
ちょっとネガティブな使い方も、世間的に、新聞記事的にも
容認されることとなった。
まさに言葉は、跳躍する。
さながら時代の空気を読みとるかのように。
注)画像はイメージです。