夢。
気づいたら、見覚えのある顔ばかり。
そうだ。今、お仕事をやりとりしている医療機器メーカーの方たちだ。
わしは、化学実験のできる研究室にいたのだった。
「どう? 何か変化はあったの?」
「甘露飴を与えたら、動きが落ち着いたようですね」
声のする方を見たら、
10センチほどの細長い物体が、宙を移動しているのが視界に入った。
飛んでいるというより、瞬間移動をしている?
サイボーグ009のジョーが、加速装置を使っている、
そんなコマドリの動き。
ああ、瞬間移動って、こういうことをいうんだ。
これは、あとからわかったことだが、
その不思議な物体は、毛虫のような、いわゆる「虫」だった。
「このセカパカは、甘露飴を与えると、毛嫌いが治まるようですよ」
「はははははははは、そのようだね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そういえば昨日、田島打たれたよな」
あかん、まぢで、今朝、寝坊した。こんな夢見てて。
夢の中の頭の中は、完全に無防備のノンフィクションだった。