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どうしても声に出したかった日本語

少年は誰よりも父を愛していた。

たくましい腕も、バックで駐車するテクニックも、

本棚を自分でつくってしまうところも、少年にとって誇らしく思えた。

少年はやがて大人になり、社会への一歩を踏み出した。

入社したのは、それほど大きな会社では無かったが、

少年、いや青年を温かく迎え入れてくれた。

 

ある日、青年は会社の同僚とお酒を飲み、

少しの好奇心からゲイバーなる店へ入った。

もちろん、青年にその趣味は無い。

 

青年は店に入るなり、言葉を失った。

そこに現れたのは、女装をした父の姿があったからだ。

父と目があった刹那、青年は踵を返し、夜の街を走っていった。

父はやや間を置いて、カウンター客の話に相づちを打った。

 

青年は夜の街をとぼとぼと歩いた。

確かに父との会話はほとんど無くなってしまったが、

あれほど愛し、尊敬していた父がまさか…。

青年には信じられなかった。嫌悪感。

結局、青年は自宅へ戻らず、次の日は恋人の家から出社した。

 

昨夜の出来事は青年の心に影を落としていたが、

青年は邪念を振り払い、デスクワークに集中しようとした。

しかし、どうやら同僚たちの好奇の視線は、勘違いではないようだ。

恐らく、昨晩一緒に飲み歩いた同僚がおもしろおかしく話したのだろう。

 

青年はやおら立ち上がるとひそひそと話をしていた同僚たちに向かって言った。

 

「誰がなんと言おうと、何を言われようとオイラ父ちゃんです」

 

 

Fin

 

 

やったー、最後のセリフ言えたー!

いやぁ、あの引退劇に関わる人たちが発した言葉の中で、

このセリフが抜群におもしろかったので、どうしても使いたかったのです。

くだらない作文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

ひとつの小さな夢がかないました♡

2 thoughts on “どうしても声に出したかった日本語” への1件のコメント

  1. cream より:

    つーか、チミんちのお父さん、チミの結婚披露宴で、オイラに「あっちにいい子達がいまっせ。」って言ってくださったのを今でも、はたまたこれからでも、ずっと忘れないそんなリアルつーか、メモリアルつーか、……こりゃ全然スタンスが違うな……ゴメン…

  2. どんぐり より:

    ぎゃあ〜
    せっかく言えたと思ったのに、脱字してもうたがに〜!

    正しくは
    「誰がなんと言おうと、何を言われようとオイラ(の)父ちゃんです。」
    大好きなフレーズを間違えてしまうとは…不覚。

    お詫びして訂正いたします。

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