心に生き続けるということ
社会人になってからもっぱら「デザイン」といえば、
IllustratorやPhotoshopを中心としたデジタルを用いています。
学生時代は授業中もお構いなしに絵を描いては学校の机に超大作を描いては、
テスト期間前に泣く泣く消すということをしていました。
ここ数年で目覚ましい成長を遂げているのが「AI」です。
単語を入力すると、キーワードから抽出した情報でそれっぽい画像を生成するものから、
画像を添付すると、必要・不要なマテリアルを判別しレタッチした画像を生成するものなど
多岐にわたる使用ができると期待されているようです。
これはアナログが主流だったときの「頭でイメージしたものがそのまま具現化する」を
実現しているように思えますが、実際は自分以外の知識も備わっているAIが学習したものを
アウトプットしていると言うことになります。
なんだか大それたことを言っているようですが、よくよく考えたら
「ブレインストーミング」の派生版みたいな感じかなと思います。
でも自分の手を動かさずに想像したものができあがっていく様子は
魔法を使っている感じがしてちょっと楽しくなりますね。
そこで考えたのは「アナログ」で描いたデザインと、「デジタル」で描いたデザイン。
どちらも印象に残る要素は変わらないのか?ということです。
これ好きだな〜とか、これは味があるな〜とかアバウトに思うことはよくありますが
何を持って好みを判断しているのかな?と感じていました。
色味でしょうか、それともバランスなのでしょうか。
うーん、難しい。
自分がいいと思っていても、他の人には今ひとつ響かないなんてことはザラにありますが、
それでも一生懸命つくりあげたデザインは共感・評価されたいな〜なんて考えます。
そもそもそんなことを考えたのは、この方の特集を見たからです。
日曜日の昼頃にやっている番組で、東海地方の仕事を紹介するコーナーをやっているのですが、
「映画看板」を手描きで60年以上描かれている職人さんです。
6月30日「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」の公開を記念して、
ミッドランドスクエアに展示してありました。
制作方法は暗幕を張った作業部屋の壁に下書きをするアートボードを立てて、
映写機(今で言うプロジェクタースクリーン)で壁に原画を映し出し、下書きをします。
下書きが終わればそのままポスターカラーを刷毛で塗っていくのです。
久しぶりにこんなに間近で手描きのイラストを見たので長いこと眺めました。
制作方法の大変さや、アナログだからこその熱量を感じたとともに
「デザイン」がアナログでもデジタルでも、人の手が加わっているのは変わらないので、
情熱はにじみ出てくるものなんだなと思いました。
「アナログ」も「デジタル」も手段が違うだけ。
そう考えたら「つくること」に心は宿っているのかなと思えてきて、
少しほっとした感じがしました。