専用場所(名無し)
最近、シンクスコピー班の班長が名作コピーを紹介しとる。
コピーライターの鑑のような記事に感銘を受けつつ、
ならば、わしはシンクスコピー班の若年寄として、
町の名作を探し出してやろうと決めた。
そして、我々の町、今池を歩くこと3分。
そいつはすぐに見つかった。
「○○専用場所」。
正確にいうとコピーでも何でもない。
ここは、とある雑居ビルの1Fに暖簾を掲げる飲食店の裏口。
一応、縁石ブロックによる区切りはあるが、
そのサイズから駐車場としての機能は期待できない。
何やらガラクタが置かれているが、倉庫というほどのものでもない。
特に使い途のあるスペースではないけれど、
だからと言って好き勝手にされても困るので領土の主張だけはしておく。
そこで、「専用場所」。
わしは、その語感の悪さから、「それは、ヘンじゃろ」とつぶやいた。
そして、わしなら、こうするね……と考え……。
……ムム……他に、最適な言い方が思いつかん!!
コピーライターの仕事は、広告のキャッチを考えることだけではない。
「ちょっと、ここの言い方、考えて」みたいな依頼もよくある。
もしかしたら、この「専用場所」は、名作なんじゃなかろうか!
いや、間違いない、これは名作だ!
そんなキツネ様につままれた初夏の一日。
梅雨が明ける気配は、まだ無い。