課題・要件
求められたのは、30〜40代に刺さるコンセプト。
愛知県碧南市に本社を構えるスギ製菓株式会社さまは、えび・いか・たこなどの海の幸を活かした海鮮せんべいの製造・販売を手がけるメーカーです。1970年の創業以来、素材の持ち味を最大限に引き出す商品づくりを強みに、土産市場から直営店展開まで事業領域を拡大。直営ブランド「えびせん家族」を通じて、多くのファンに支持されてきました。一方で、その確かな商品力と引き換えに、“えびせん=中高年向け”という市場イメージが定着している側面もあり、ブランドの次なる成長に向けた新たな施策が求められていました。

本プロジェクトの位置づけ
本プロジェクトは、同社が長年培ってきた「素材力」と「品質力」を土台としながら、従来の延長線上ではない、新たな価値を創出する挑戦とも言えます。目指したのは、えびせんというカテゴリそのものの再定義。「昔ながらのおつまみ」から、「シェアしたくなる体験」へ。従来ブランドとは明確に一線を画し、30〜40代を中心とした新たな顧客層、さらにはインバウンド需要までを見据えた、新規ブランドの立ち上げを行いました。単なる商品開発ではなく、“誰に、どんな価値として届けるのか”を再設計する。スギ製菓株式会社さまにとって、本プロジェクトはブランドの可能性を拡張する。
ミッション
姿物を中心とした商品による、新たな顧客層を獲得するためのブランド構築。
課題整理
本案件における主要課題は、以下の4点。
- 既存直営ブランドとの差別化
- ターゲット層の若年化
- 競合他社との差別化
- インバウンド需要の取り込み

市場分析から見える方向性
市場調査の結果、せんべいの主な購買層は60代以上に偏っており、若年層へのアプローチが大きな課題であることが明らかに。従来の位置付けから脱却するため、以下の要素を重視したブランディングが求められました。
- 特別感
- 高級感
- おしゃれさ
- パッケージのデザイン性
ターゲットインサイト(30〜40代)
ターゲットとする30〜40代の消費特性は、
- SNSにおける「映え」を重視する傾向
- ブランド志向が強い
- エンタメ性や体験価値を求める
- 品質や本物志向を重視する
- 自己投資意欲が高い
- 情報収集はスマートフォンが中心
これらの特性から、「単なる食品」ではなく「共有したくなる体験価値」を持つブランド設計が必要でした。
企画・提案
手軽な楽しさに、特別感をプラス。
ブランディングの方向性設計
- 新しいお菓子としてのポジション確立(脱・えびせん)
従来のカテゴリイメージから離れ、新たな価値としてえびせんを再定義。 - 食シーンの拡張(NEO えびせん)
おつまみ・おやつ・珍味など、複数の利用シーンに対応。 - シェア価値の創出
中高年向けの “個食・酒肴” から、若年層向けの “共有・体験” への価値の転換。
コンセプト設計
課題およびターゲット分析を踏まえ、本ブランドでは「商品価値」だけでなく、「体験価値」の提供を重視したコンセプト設計を行いました。目指したのは、従来のえびせんが持つ「日常性」や「中高年向け」のイメージから脱却し、若年層が思わず手に取り、誰かと共有したくなるブランド体験の創出です。
上記から、ブランドコンセプトを以下の通り定義しました。
「気軽に美味しい!シェアして楽しい!」
“気軽さ” と “楽しさ” を軸に、日常にちょっとした特別感をもたらす存在として位置付けています。
ブランドネーミング開発
コンセプトを具現化するため、複数の切り口からブランド名称案を開発。
ネーミングにおいては、以下の要素を重視しました。
- 海の幸(素材価値)が直感的に伝わること
- ポジティブで親しみやすい語感
- インバウンド需要にも対応可能な視認性・発音性
- SNSやパッケージ上での展開力
これらを踏まえた検討の結果、ブランド名称は
「SEA HAPPY」(シーハッピー)に決定しました。
“海のしあわせ” という意味合いをストレートに表現しつつ、「BE HAPPY」を想起させるポジティブな印象を持たせることで、商品価値と感情価値の両立を図っています。
ブランドロゴ開発
和の要素をベースとしながらも、若年層に訴求する「高級感」「おしゃれさ」を兼ね備えたデザインを目指し、ポジションマップを作成の上、開発を進めました。
最終的に、ブランドロゴおよび展示会でのディスプレイイメージを含め、計15案をご提案しました。

仮決定の後、ブラッシュアップを行い、ロゴが完成。


商品ネーミング開発
商品ネーミングについては、ブランドコンセプトとの一貫性を保ちながら、購買時の直感的な魅力を高めることを目的に検討。複数の方向性から検証を行った結果、食感をダイレクトに想起させる「パリッ!」シリーズ が採用となりました。シンプルかつ印象に残りやすいネーミングとすることで、視覚・聴覚の両面から購買意欲を喚起する設計としています。
パッケージデザイン開発

デザインにおいては、“思わず手に取りたくなるかどうか”を最重要視し、視覚的な魅力とSNSでの拡散性(=映え)の両立を目指しました。
具体的には、
- シンプルで洗練されたレイアウト設計
- イラスト・配色・余白を活かした高級感の演出
- 店頭・EC・SNS いずれの接点でも印象に残るビジュアル設計
また、商品そのものの魅力(素材・食感)を直感的に伝えながらも、“ギフトとしても成立する佇まい”を意識し、日常消費と特別消費の両立を図りました。
