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マグロ

私は、マグロである。

私の妻もまた、マグロである。

 

 

ある休日の昼下がり。

私は陽の当たるリビングで読みかけの文庫を片手にウトウトしていた。

隣接するキッチンからはクッキーを焼く甘い香りとジャズの旋律が流れてくる。

 

心地よい贅沢な時間。

まさに休日と呼ぶにふさわしい瞬間を、私は堪能していた。

 

 

小学生になった2人の息子たちの休日の過ごし方といえば、

もう、親にべったりということはなくなる。

今日はそれぞれの同級生と我が家の前で遊んでいるようだ。

 

公園でサッカーやろう!

鬼ごっこがいい!

マグロ釣りごっこやろう!

そろそろオヤツ食べたい。

 

子どもたちの騒ぎ声さえ心地よい。

 

私はソファに寝転がったまま妻の方を向いて、

夕食に出かけるレストランについて、いくつか質問をしようとしていた。

 

公園でサッカーやろう!

ボールどこにある?

マグロ釣りごっこやろう!

そろそろオヤツ食べてもいいよね?

 

ん?

少しの違和感。

 

「えーっと、なんだっけ?」と私。

「なーに?」と妻。

「いや、何でもない」と私は、再び文庫に視線を移した。

 

マグロ釣りごっこやろう!

イヤだよ!

何それ?

マグロっておいしい?

 

「はぁ?」

「ちょっと、急に大声出して、どうしたの?」

「マグロ釣りごっこって、何?」

「何、それ?」

 

どうやら、声の主は我が次男、狂平。

友達にマグロ釣りごっこを提案するも、完全に却下されているようだ。

 

 

マグロ釣りごっこって、一体、何だ!!!

私の休日から優雅さは消え去り、心が波打つように騒ぎ始めた。

 

私は狂平の帰宅を待った。待ちわびた。

 

夕刻、まず、兄の憂輔が帰ってきた。

私は小学校でマグロ釣りごっこなる遊びが流行っていることを期待して聞いた。

「憂輔、マグロ釣りごっこっておもしろいの?」

「は?何それ?」

 

ダメだ。解決しない!

そして、さらに待つこと数分。

ついに、狂平が帰ってきた。

私は玄関に駆け下り、「おかえり」の挨拶もそこそこに問いつめた。

「マグロ釣りごっこって、何?」と。

 

すると、狂平はニコッと笑って答えた。

 

……続きは次回……

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